森を守る鍵

森を守る鍵

スウェーデンの「ウメオ大学」より、森林災害をテーマとした論文が公開された。研究者は、15年分のスウェーデン国内全土に広がる森林に関するデータを収集し、どのような災害が多く、何がその原因になっているのかを分析した。

その結果、風、雪、林業、菌類、シカ科の動物(主にヘラジカ)という順番で被害が多いことや、調査対象の森林の94%が何かしらの被害を受けていることが分かった。また、スウェーデンの温暖な地域では、樹種の少ない森林は樹種の多い森林と比較して被害を受けるリスクがかなり高いということも明らかになった。

これは相関関係の話であって、因果関係の話ではないが、肌感覚でも納得はできる内容だろう。農業でも単一の作物をひとつの場所で栽培するMonoculture(モノカルチャー)よりも、異なる複数の作物を同時にひとつの場所で栽培するPolyculture(ポリカルチャー)の方が、特定の虫や菌類からの被害を受けにくい。

研究者は「森林の管理方法を変えることで、森林災害のリスクを低減できる可能性があることを示している。 針葉樹中心の生産林の中で広葉樹の比率が高ければ、被害は少なくなるだろう」と語っている。

柑橘栽培でも多様性を高めるという点は何かしらのかたちで応用できるかもしれない。うまく農法に取り入れることができれば、殺虫剤や殺菌剤(もしくは、それと同等の効果を発揮する資材)を使う頻度が少なくなるだろう。気候変動によって虫や菌類の生息域や生息期間が変わったとしても、自然界が本来持っている包括的な生態系を取り戻すことができていれば、被害を最小限にとどめられるのだろう。

出典:Tree damage risk across gradients in tree species richness and stand age: Implications for adaptive forest management

参考:Mixed forests reduce the risk of forest damage in a warmer climate / Umeå University

「Field Note」では、慣行栽培や有機栽培、自然栽培などの垣根を超えて、学びのあった内容、取り入れたいアイデア、視野の広がったインスピレーションについて書いています。comorebi farmは、農薬や化学肥料、除草剤、防腐剤を使わずに、身近にある資源を使って有機栽培に取り組んでいます。

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